レールの上の人生 ② 【 生きているのが苦しい 】
日本の大学は、
『 入学するのが大変で、卒業するのは簡単 』と言われている。
逆に 海外の大学は、
『 入学するのは簡単で、卒業するのが大変 』と言われている。
どちらが良くて、
どちらが悪いなどの話ではなく、
なぜ日本の大学生たちは、
『 せっかく 色々なことにチャレンジできる
大学4年間を、遊ぶことに費やしてしまうのか 』
ということである。
中には、海外の姉妹校に留学したり、
海外に一人旅したりと、
たくさんのことにチャレンジしている学生もいるが、
いったい 全体の何%の学生が、
『 夢 』や『 目標 』を持って
学校生活を送っていただろうか。
少なくとも 当時のわたしは、
『 夢 』や『 目標 』を持っていなかった。
それどころか、
何か没頭できる事すらなかったのである。
当時、中高 運動部に所属していたわたしは、
休む暇もないくらいに
とにかく練習に打ち込んでいた。
毎日の 長い練習時間も、
意識が朦朧とする中 やり切り、
少しでも時間があれば、
家で 自主練習をしたり。
毎日の日課になっていた筋トレも 欠かさなかった。
『 他の誰かが 座り込んでいる時がチャンスだ。
練習は絶対に嘘をつかないぞ、人一倍練習しろ、努力しろ。』
顧問の先生にそう言われ、
何故か アホみたいに間に受けて(笑) 、
とにかく、とにかく練習した。
そうして、入部当時ビリだったわたしは、
約半年間で 1番手の『 エース 』と呼ばれる
ポジションを勝ち取ったのである。
『 強くなりたい、勝ちたい 』
その気持ちだけで、
どんなに苦しい状態でも 乗り越えられた。
今思い返すと、
ゾッとするような 練習メニューと 筋トレメニュー。
どうして、
途中で辞めるという選択肢がある中で、
最後までやり遂げることが出来たのか。
毎日感じる苦しさを、
『 充実している 』と捉えていたからである。
そして、この部活を通しての経験が、
今でも自分の自信となっている。
話を戻そう。(笑)
大学に入学してから1年間、
まわりの友達と同様に、遊ぶことしか してこなかったわたしは、
遊び飽きた時に、
自分がとても空っぽであることに気がついたのだ。
好きなことがない。
夢中になれるものがない。
『 せっかくの大学生活が、あまりに充実していない 』
ということを、悟った瞬間だった。
今までは 夢中になれるものがあったから、
それだけを見て、ただただ真っ直ぐ突っ走ってきた。
だが、その時はどうだろう。
比べてみると、
真逆の生活をしていたことに気づく。
それからというもの、
自分への失望感、両親への罪悪感、そして劣等感。
言葉では簡単に言い表せないほど、
わたしは絶望的な状態だった。
そして、
いざ夢中になれる事を探し始めたものの、
その暗中模索する気持ちが、
わたしを出口の見えない真っ暗なトンネルへと 追いやって行ったのである。
もがいても もがいても、
出られない真っ暗なトンネル。
出口に向かっているのか、
入口に戻っているのかさえも わからない。
いつしかわたしは、地面と にらめっこしながら歩くようになった。
心の中は、毎日が雨だった。
見るもの全てが、真っ黒に見えた。
何をしても、何を話しても 楽しくない。
ごはんが 美味しく感じない。
そして遂には、
生きていることすら楽しくないと感じるようになった。
毎日が苦痛で仕方なかった。
夜は、「 明日の朝 目覚めなければいいのに 」と思い、
朝、目が覚めると 「 どうして生きているんだろう 」と思った。
生きている意味が分からない、
生きているだけで苦しい、
そう思うようになっていった。
そんな日々が、約半年間続く...
長くて苦しい毎日の始まりである。